日中の肌の老化へ新視点 「インフラマソーム」の活性化を抑えるFAS独自成分「イチジク果実酵母代謝油」
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日中の肌の老化へ新視点 「インフラマソーム」の活性化を抑えるFAS独自成分「イチジク果実酵母代謝油」

研究・調査2026.09.11
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日中の肌の老化へ新視点 「インフラマソーム」の活性化を抑えるFAS独自成分「イチジク果実酵母代謝油」

研究・調査2026.09.11

Index

今回、私たちの行った日中の肌ダメージに対する研究から、完熟いちじくを酵母で発酵させて生み出した油溶性の独自成分「イチジク果実酵母代謝油」が、紫外線をきっかけに活性化するタンパク質複合体「インフラマソーム」の働きを抑える可能性があることを発見しました。「日中のエイジングケアには、長く働き続ける成分が必要」―この考えから始まった成分開発の背景とあわせて、試験結果をご紹介します。

(1)

1. 日中のエイジングケアに求められる「持続性」

スキンケアの中心は、多くの場合「夜」です。夜は紫外線などの外的ストレスが少なく、肌をいたわることに集中できる時間帯だからです。一方、日中の肌は、紫外線や大気汚染といった外的ストレスに何時間もさらされ続けています。こうした外的要因の総体(エクスポソーム)が肌の老化を大きく左右することが知られており(*1)、老化の要因となるダメージの多くは、むしろ日中に発生しているのです。

ところが日中は、メイクの上から美容液などを塗り直すことが難しく、朝に塗った成分だけで長い時間を過ごすことになります。つまり日中のエイジングケアでは、塗った瞬間の効果よりも、夕方まで働き続ける「持続性」が重要になります。

(2)

2. 日中の肌ダメージの正体 ―エイジングの上流スイッチ「インフラマソーム」

日中の紫外線を浴びると、肌の細胞内では活性酸素の発生やDNAへのダメージといったストレスが生じます。これをきっかけに、免疫反応の一環として、細胞内に「インフラマソーム」と呼ばれる巨大なタンパク質複合体が形成され、活性化することが知られています(*2)。

インフラマソームは、表皮細胞や線維芽細胞、免疫細胞などの細胞内にあるタンパク質複合体です。活性化すると、酵素カスパーゼ-1の働きによって、IL-1βやIL-18などの炎症因子(炎症を引き起こす情報伝達物質)が細胞外へ放出され、炎症反応やバリア機能低下の起点となる可能性があります(*3)。

表皮細胞内のインフラマソームと炎症因子の放出を示す模式図

こうしたごく弱い炎症が日々くり返されることは、インフラメイジング(微弱炎症による老化)と呼ばれ、エイジングの進行との関連が指摘されています(*4)。つまりインフラマソームは、日中の肌ダメージが「老化」へと変換されていく、上流のスイッチのひとつと考えることができます。

紫外線を浴びる機会は、日中を通して何度も訪れます。だからこそ、この微弱炎症の起点を日中のあいだ抑え続けることが、日中のエイジングケアの核心になる―これが私たちの考えた仮説です。

(3)

3. 発酵で「油」をつくる ―イチジク果実酵母代謝油の誕生

日中くり返される微弱炎症の起点を、長い時間にわたって抑え続けるため、私たちは美容成分の「水溶性/油溶性」という、肌へのアプローチの違いに着目しました。水溶性の成分は角層になじみにくく、とどまらずに速やかに働くことが知られています。一方、油溶性の成分は、角層に浸透してそこに蓄えられ、そこから持続的に働き続けるという特性をもちます(*5)。

油溶性成分と水溶性成分の肌へのアプローチの違いを示す模式図

そこで私たちは、この油溶性の美容成分を、FASの原点である発酵の力で作り出すことを目指しました。しかし、ここに大きな壁がありました。化粧品に使われる発酵由来成分には、アミノ酸や有機酸、糖類など多彩なものがありますが、実はそのほとんどが水溶性です。油を作り出す微生物は非常に稀であり、発酵によって化粧品用の油脂を生み出すこと自体にほとんど前例がありません。私たちの探索は、手探りの状態から始まりました。

探索の末に辿り着いたのが、油脂を菌体の中に蓄積する性質をもつ酵母(油脂蓄積性酵母)です。酵母のうち、ロドトルラ属には、菌体内に油脂を高い割合で蓄積し、同時にカロテノイド類を産生するものがいることが知られています(*6)。この酵母を軸に研究を重ねる中で、糖分・タンパク質・ミネラルがバランスよく含まれる完熟いちじくを材料にすると、酵母が良質な油脂をたくさん生み出すことを発見しました。原料には、いちじくの生産量で国内有数の産地である大阪府羽曳野市で、木の上で完熟させてから収穫されたいちじくを使用しています。

油をとり出すために一部手作業の工程を経るなど、1年以上の歳月をかけて誕生したのがイチジク果実酵母代謝油です。酵母が発酵の過程で生み出すこのオイルは、肌なじみのよいトリグリセリドという脂質を中心に、カロテノイド類を含んでいます。

(4)

4. 「イチジク果実酵母代謝油」によるカスパーゼ-1活性の抑制作用

私たちは研究の結果、このイチジク果実酵母代謝油が、日中ダメージの上流スイッチであるインフラマソームに働きかける可能性があることを見出しました。紫外線の照射によりインフラマソーム形成がなされると、酵素・カスパーゼ-1が活性化します。この活性を、蛍光により観察・定量したところ、紫外線照射によって上昇したカスパーゼ-1の活性が、イチジク果実酵母代謝油を加えた条件では有意に抑制されることが確認できました。

カスパーゼ-1活性の蛍光観察画像(コントロール/UV照射/イチジク果実酵母代謝油を加えた後UV照射)

DNAあたりのカスパーゼ-1活性を示すグラフ

すなわち、イチジク果実酵母代謝油には、紫外線をきっかけとする微弱炎症やバリア機能低下を防ぐ働きが期待されます。

(5)

5. 持続する日中のエイジングケアへ

油溶性の成分はオイルベースの化粧品基剤と混ざりやすいため、特にメイクアップ製品のような、油性基剤がメインとなるものと相性が良いと考えられます。また、日中の長い時間、肌に触れ続ける製剤へ配合することで、効果的なエイジングケアが期待できます。

「日中のエイジングケアには、長く働き続ける成分が必要」という考えから始まった、発酵で油をつくるという挑戦はこれで終わりではありません。FASリサーチセンターでは今後も、発酵の可能性を広げながら、日中の肌を守る研究を続けてまいります。

参考文献

*1 Krutmann J, et al. "The skin aging exposome." Journal of Dermatological Science, 2017.

*2 Feldmeyer L, et al. "The inflammasome mediates UVB-induced activation and secretion of interleukin-1beta by keratinocytes." Current Biology, 2007.

*3 Feldmeyer L, et al. "Interleukin-1, inflammasomes and the skin." European Journal of Cell Biology, 2010.

*4 Pilkington SM, et al. "Inflammaging and the Skin." Journal of Investigative Dermatology, 2021.

*5 Cross SE, et al. "Determination of the effect of lipophilicity on the in vitro permeability and tissue reservoir characteristics of topically applied solutes in human skin layers." Journal of Investigative Dermatology, 2003.

*6 Kot AM, et al. "Rhodotorula glutinis—potential source of lipids, carotenoids, and enzymes for use in industries." Applied Microbiology and Biotechnology, 2016.

本文に記載の試験データはすべて自社調べによる。

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