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004.
全層に届ける発酵の力~FAS初の独自成分「BRファーメント*¹」~
研究・調査
2025.09.08
004.
全層に届ける発酵の力~FAS初の独自成分「BRファーメント*¹」~
研究・調査
2025.09.08
古代米の一種としてしられる黒米は白米に比べ栄養価が高く、発酵液にした際の発酵代謝物が高いことが知られています。
京都の京丹後にある黒米を独自の発酵技術にて二段階発酵させた発酵液を用いた実験結果からは、メタボローム解析において738種*²の成分が含まれていることが明らかになっただけでなく、全発酵代謝物の相対面積比の多さも認められました。
この結果からは、私たちの黒米を発酵させた発酵液は、白米の発酵液よりも、多くの発酵代謝物を含んでいることがわかりました。
そんな栄養価の高い「素材」に着目した私たちは3年の月日を経て、FAS初の独自エイジングケア*³成分である「BRファーメント」を開発しました。 私たちは、この「BRファーメント」の肌への可能性を探るべく、研究を行ってきました。
(2)
独自成分BRファーメントと肌研究
肌の構造、表皮と真皮
肌は主に「表皮」と「真皮」の二層で構成されています。
表皮は外部刺激や乾燥から肌を守るバリア機能を担い、中でも最上層の角層がうるおいを保つ為に重要です。 その下にある真皮は、コラーゲンやエラスチンといった繊維成分で構成され、肌のハリや弾力を支える土台となる層です。
加齢や紫外線、乾燥などの影響により肌がダメージを受けると、たるみやシワ、くすみなどが現れやすくなります。
(3)
肌全層へ届く、BRファーメントのデリバリーシステム
こちらはBRファーメントが皮膚に浸透していく様子をイメージした動画です。
BRファーメントは独自の発酵技術によりペプチドなど超低分子の成分が多いことが特徴としてあげられます。そのため、FASリサーチセンターではこのように肌全層へと浸透するデリバリーシステムが存在するのではないかと考え日々研究に取り組んでいます。
また、その仮説をもとに行った肌の各層における実験結果からも、それぞれの層で肌悩みに働きかける10個の結果が確認できました。
表皮、真皮にBRファーメントが働きかける結果を以下に一つずつ示していきます。
1~10までの実験はそれぞれに適した試験法で実施された為、表皮・真皮と項目を分け、試験法と実験結果を以下に一つずつ示していきます。
(4)
表皮
(5)
■角質層
(6)
①表皮角化細胞の増殖促進
表皮角化細胞にBRファーメントを添加した試験では、顕微鏡画像からも顕著にわかるように表皮角化細胞の増殖促進作用が認められました。
増殖促進率はコントロールと比べて、約20%という結果となっています。
結果から、BRファーメントは表皮角化細胞の増殖を促進し、バリア機能の強化や健やかなターンオーバーの維持に働きかける可能性が示唆されました。
(7)
②グルタチオン産生促進
グルタチオンは強力な抗酸化作用とメラニン抑制作用をもつことで知られている成分です。
今回表皮角化細胞にBRファーメントを添加した実験では、グルタチオン産生促進作用が見られました。
この結果から、BRファーメントの抗酸化作用としての働きが示唆されています。
(8)
③プロスタグランジンE2産生抑制
プロスタグランジンE2は皮膚の炎症の原因になるホルモンの一種として知られています。
BRファーメントの添加実験からは、コントロールと比べこのプロスタグランジンE2産生を約64%抑制することが分かりました。
この結果からBRファーメントには肌荒れ、赤みなどの炎症への働きかける可能性が示唆されました。
(9)
■顆粒層
(10)
④オクルディンmRNA発現促進
肌内部、細胞と細胞同士を密着させるように働き、肌の水分蒸発を防ぐバリア機能としての役割をしているのが「タイトジャンクション」です。
オクルディンはこのタイトジャンクションの構成要素の一部と知られています。そのため、オクルディンの発現がしっかりと行われることはタイトジャンクションの形成を促すことに繋がると考えられます。
今回、BRファーメントの添加実験からはこのオクルディンのmRNAの発現促進作用が確認できました。
そのため、BRファーメントがオクルディンの発現を促進することでタイトジャンクションの形成に関与し、結果として肌のバリア機能の低下に働きかけ水分蒸発を防ぐ可能性があると示唆されました。
(11)
⑤トランスグルタミナーゼ発現促進
トランスグルタミナーゼは、表皮細胞が皮膚の奥からできあがるにつれて、細胞の中にあるタンパク質を架橋し、角質細胞において「CE(コーニファイドエンベロープ)」と呼ばれる構造を作り出す酵素です。
このCEが正常に形成されないと、バリア機能が低下するともいわれており、肌において非常に重要な役割をもっています。
今回行ったBRファーメントの添加実験では、この「トランスグルタミナーゼ」の遺伝子発現を促進することも確認できました。
結果からオクルディンmRNAの発現促進作用同様に、BRファーメントは「CE」の形成を介したバリア機能の強化にも期待できる可能性があります。
(12)
■有棘層
(13)
⑥ヒアルロン酸 産生促進
皮膚に存在するヒアルロン酸 のうち、表皮に含まれるヒアルロン酸の絶対量は真皮よりも圧倒的に少ないものの、基底層から顆粒層にかけて高濃度に存在し、細胞と細胞の間の隙間を埋めるように存在することがしられています。
今回、BRファーメントには保湿因子として知られているヒアルロン酸の産生促進作用も確認できました。
結果から、BRファーメントは肌の内側から潤いを与える役割があると考えられます。
(14)
■基底層
(15)
⑦ラミニン-332 産生促進
基底膜は、表皮と真皮の境目、基底層の下部に存在し、ハリのある肌質感を作る土台ともいえる膜です。この基底膜がダメージを受けると、肌の状態を正常に保てなくなり、シワやくすみなどの原因となることがしられています。
ラミニン-332はその基底膜の修復や接着をうながし、修復にも関わることで知られている重要なたんぱく質です。
BRファーメントの添加実験では、このラミニン332の産生促進作用が確認されており、基底膜部分の修復に働きかけることにより、基底膜という土台部分からサポートをしてくれる可能性が示唆さ れました。
(16)
【真皮】
(17)
⑧エラスターゼ活性阻害
真皮層に存在するタンパク質「エラスチン」は皮膚の弾力性に関わる弾性繊維の主成分です。そしてその「エラスチン」を壊してしまうのがタンパク質分解酵素の一種として知られている「エラスターゼ」です。
今回BRファーメントの添加実験ではこの「エラスターゼ」の活性を阻害する作用が確認されました。
結果から、BRファーメントは肌の弾力性の維持に働きかける可能性があることが分かります。
(18)
⑨フィブリン-5 mRNA 発現促進
フィブリン5はエラスチン線維の形成に関与する成分で、フィブリン5はエラスチンが真皮内にしっかりと定着するための“足場”のような働きをすることで知られています。
BRファーメントの添加実験からはこのフィブリン‐5のmRNAの促進も見られました。
結果から、BRファーメントはエラスチンの定着を促し真皮の構造維持に働きかけていると考えれます。
(19)
⑩IGF-1mRNA発現促進
IGF-1は、細胞の増殖や分化に関わる因子で、全身の成長を刺激し、体中のほぼすべての細胞に対して成長促進効果を発揮します。
皮膚においてはケラチノサイトの増殖促進効果や線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果、分解抑制などを有することがしられており、このIGF-1の産生量は加齢によって減少し、機能発現が低下することも報告されています。
要するに、IGF-1の正常な産生とそれによる働きは老化によっておこる変化に重要な役割があるのです。
今回実験からBRファーメントにはこのIGF-1のmRNA発現も促進する作用が確認できました。
以上①~⑩の結果から、BRファーメントには肌の全層に対して働きかける可能性が示唆されています。また独自の発酵技術による肌全層デリバリーシステムにより、加齢に伴うさまざまな肌悩みにアプローチできると考えています。
(20)
臨床試験結果 4週間連用塗布(Before&After)
(21)
①肌の明るさ
今回私たちはBRファーメントを含む化粧水を4週間連用塗布した臨床試験を実施しました。
試験は41歳〜56歳の女性20人を対象に行われ、1日朝晩2回、4週間の塗布を行ってもらいました。
肌の頬部位の明るさを測定した結果からは、4週間の連用塗布後、光の拡散面積が試験開始時より数値として5%増加していることがわかりました。
各時点にて撮影された写真からも連用により、肌の明るさが増し、肌表面の赤みも落ち着いている印象になることも観察できました。
(22)
②肌の内側から光が反射する、戻り光量
FASでは肌にもたらす効果として、光が肌に入って、跳ね返って出ていく光の量を〝戻り(もどり)光量〟と定義しています。
肌の各層がきれいに整列していると、光の透過・反射がスムーズなため、戻り光量が多く、この戻り光量が多いと肌からの光の反射量が多くなり内側から湧き出るような透明感がでてくると感じられることが多くあります。
しかし、加齢などで肌層が乱れることで戻り光量が少なくなると考えています。
今回、BRファーメントを含む化粧水を4週間連用塗布し、その後の戻り光量を観察した簡易的な試験を実施しました。
試験開始前と連用塗布4週間後に肌にライトをあてたところ、エッセンス塗布4週間後では、戻り光量が増えたことが確認できました。
このことから肌の透明感を高めてくれるような実感が得られるのではと考えています。
今後もFASリサーチセンターでは「発酵」の可能性を探りながら、素材や酵母の特性を最大限生かし、肌の老化へ効率的にアプローチできるように研究を続けて参ります。
BRファーメント*¹…
Black Rice Ferment
738種*²…2023年測定時
エイジングケア*³…年齢に応じたケア
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